NAP【Network Access Protection】ネットワークアクセス保護
概要

管理者はサーバ上で、ファイアウォールが有効であることやウイルス対策ソフトが正しく機能していることなど、接続してくるクライアントが満たすべきセキュリティ上の要件(ポリシー)を定める。接続を試みるクライアントは自らの状態をサーバへ通知し、その内容がポリシーに準拠していると判断された場合に限り通信が許可される。
ポリシーに違反していると判定されたクライアントは、ネットワークへの接続が制限された状態に置かれる。この際、修復サーバが自動的に更新プログラムの適用や設定の修正を行い、クライアントの状態をポリシーに適合させる。修復が完了すると再評価が行われ、基準を満たした時点で本来のネットワークへの接続が許可される。
この仕組みにより、ウイルスに感染した端末やセキュリティ対策が不十分な端末を早期に検知し、ネットワーク全体への被害が及ぶ前に隔離することが可能になる。特に、社外へ持ち出したノートパソコンや、一時的に接続される端末の管理に活用された。認証にはDHCPやVPN、IEEE 802.1Xなど複数の方式を利用でき、接続方法に応じたアクセス制御を行うことができた。
NAPはWindows Server 2008およびWindows Vistaで導入された。サーバ側がWindows Server 2016まで、クライアント側がWindows 8までの対応となっており、それ以降のバージョンでは提供されていない。モバイル端末や様々なオペレーティングシステム(OS)の普及によりWindows中心の管理方式では運用上の制約が大きくなったことから、Microsoft社は開発を終了した。
現在のIT環境では、端末の状態に加えて利用者の認証情報やアクセス経路をその都度厳格に検証する考え方が主流となっており、NAPが担っていた役割は、より高度なクラウド管理型のアクセス制御機能やMDM(モバイルデバイス管理)ツールへ引き継がれている。NAPと同等の機能を現在の環境で利用する場合は、これらの代替手段を検討する必要がある。